無意識、潜在意識の働きについて〜守護神または疫病神?
人のこころとは?
人のこころとは?何か確かに存在するモノということではなく、瞬間瞬間の状態、意識の作用というものであると考えられます。実体のある確かなモノではない、ある状態となれば、それは常に移り変わり変化していくものということができます。ここではその移り変わり変化するこころ=意識、特に無意識、更に潜在意識の領域について、考えたいと思います。
人のこころ=意識
人のこころ=意識は大きく2つに分けられます。それは顕在意識と無意識です。無意識とは、自覚しないで心の中に存在する精神現象や思考、感情のことを指します。無意識は、人間の心の中で24時間休むことなく常に働いており、心理的な行動や思考、感情を支配することがあります。たとえば、怒りや恐怖といった強い感情が現れた場合、その感情の根底には、無意識的な思考や感情があることがあります。無意識には一個人を超えたその人の所属する社会、文化に影響を受けた集合的無意識があります。更に無意識には社会、文化、人種などを超えた人類共通の超意識があります。人はそれらの影響から逃れることはできません。集合的無意識や超意識については今回のテーマではないので分類にとどめます。
安全装置としての無意識の働き
無意識の働きには心的抑圧や防衛機制が含まれています。心的抑圧とは、個人の意識に入り込むことができない精神的なものを、無意識に抑圧してしまうことです。たとえば、トラウマ体験や不快な記憶がある場合、その記憶が無意識に抑圧され、意識に出てこないようになっていることがあります。また、防衛機制とは、不安や恐怖といった無意識的な感情から自己を守るために、無意識が働いて行う心理的な作用のことです。たとえば、否認や退行といった防衛機制があります。これらの安全装置としての無意識の働きによって我々は日常生活を安定して維持し心の平穏を保っています。これは現状を維持するという保守的な面からは優れた働きですが、変化しないといけない時には大きな抵抗となり得ます。現状が維持されるのが良い状態では無意識の働きは自己の守り神でありますが、変化しなければならない状況になった時、無意識の安全装置としての働きは現状維持の呪縛を強いる疫病神となってしまいます。
潜在意識は無意識の中の一つの要素
潜在意識は個人における無意識の一つの構成要素になります。意識的に気付かないで心の中に存在する思考、感情、行動、体験、願望、欲求などの心理的要素のことを指します。潜在意識は、人々の行動や思考、感情に大きな影響を与え、重要な機能を持っています。
潜在意識の重要な6つの機能
その1:セルフイメージの形成
まず、潜在意識の一つの重要な機能は、セルフイメージ(自己評価)の形成に関わっていることです。セルフイメージ(自己評価)とは、個人が自分自身の価値を評価することであり、潜在意識にある過去の体験や感情、願望、欲求などが、セルフイメージ(自己評価)に影響を与えます。たとえば、潜在意識にセルフイメージ(自己評価)を下げるような過去の体験がある場合、その影響でセルフイメージ(自己評価)が低くなることがあります。
その2:自己実現に向けた行動を促す
潜在意識のもう一つの重要な機能は、自己実現に向けた行動を促すことです。自己実現とは、個人が自分自身を最大限に表現し、自分自身を肯定することであり、潜在意識にある願望や欲求が自己実現に向けた行動を促すことがあります。たとえば、潜在意識に「自分は書くことが好きだ」という願望がある場合、その影響で書くことに向けた行動を促すことがあります。
その3:情報収集機能
そして、潜在意識は、学習や思考、問題解決にも関与しています。潜在意識には、過去の経験から得られた情報や知識が蓄積されており、これらの情報や知識が、問題解決に役立つことがあります。たとえば、潜在意識にある情報が提示されることで、問題解決に必要な知識を思い出すことができることがあります。
その4:情報の統合機能
また、潜在意識には、創造性や想像力を促進する働きや機能が存在しています。一つの機能として、潜在意識には非常に豊富な情報が蓄積されており、この情報が創造性や想像力を促進することがあります。潜在意識には、過去の体験や知識、感情、願望、欲求などが蓄積されており、これらの要素が結びつくことで、新しいアイデアや発想が生まれることがあります。たとえば、ある人が映画を観た際に、潜在意識にその映画の情報が蓄積され、その情報が他の要素と結びつくことで、新しいストーリーやアイデアが生まれることがあります。
その5:創造性や想像力の発揚
潜在意識は、意識的な制限から解放されているため、創造性や想像力を促進することがあります。意識的な制限とは、日常的な思考や行動によって、自分自身に枠組みや規則を設けていることを指します。防衛規制ということができますが、新しいことにチャレンジしようとした時に、億劫さが出たり、物怖じしてチャレンジをやめてしまったりするのはこの働きによるものです。一方、潜在意識には、そのような制限がないため、自由な発想や想像力を生み出すことができます。
その6:直観・直感の力
さらに、潜在意識は、直感的な思考や感覚を促進することがあります。潜在意識には、直感的な思考や感覚が反映されることがあり、それが創造性や想像力を生み出すことがあります。たとえば、ある人が直感的に感じたイメージやイメージが膨らんでいくことで、新しいアイデアや創造性が生まれることがあります。
(こころ=意識>無意識>)潜在意識の活用
以上のように、(こころ=意識>無意識>)潜在意識には、創造性や想像力を促進していく働きがあります。潜在意識について理解を深めることで、自分自身に気づき、現状維持の安定感・安心感を与えてくれる守護神としての役割を感じながら、一方でその働きをうまく活用することで新しいアイデアや発想を生み出し、実現する力を発揮しやすくなることが期待できます。創造性や想像力を活かすことは、人生において非常に重要なことであり、潜在意識の働きを理解し、活用することが、より豊かな人生を送るための鍵となると考えられます。
本記事では無意識、潜在意識をテーマに考察してみました。これ以外にも現代社会に生きる我々がストレス管理や自己受容の技術などを学んでおくことは重要です。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。(⇨「カウンセリングの無料相談」はこちら)
取扱い機関:〈こころ相談ナビ〉